プレイヤーを楽しくさせるための演出を加えてゲームを「ジューシー」にするという用語の適切な訳語が欲しい

ゲームはその根幹のルールが楽しければそれで十分、見た目は最低限、音なんて無くて良い、ということに同意する人はほとんどいないと思う。ゲームはそのベースとなるルールの他に、それを盛り上げるためのプレイヤーの視覚、聴覚への刺激、演出が不可欠だ。

ゲーム開発者は、それら演出が適切になされているゲームのことを、ジューシー("Juicy")なゲームと呼ぶことがある。

例えば、この動画は単純なブロック崩しをジューシーにすることで、同じルールを持つゲームがどれだけ楽しくなるかを示している。

ジューシーなゲームにするためのジュースとしてどのような演出があるか、については以下の動画に詳しい。

要するに、ゲームに加えられるアニメーション、効果音、画面の振動、ヒットストップ、パーティクル、などなどをうまく活用できているゲームをジューシーと呼んでいるわけだ。ただそのジューシーという用語がかなり曖昧なことも否めない。

上記記事ではジューシーとは何を指すのかを深掘りしようとしつつ、確固たる定義にはたどりついてはいない。またその際にジューシーなカジュアルゲームの例として、PopCapのゲームを挙げている。PopCapのゲームの中でも、様々な演出でプレイヤーを褒め称えることが非常にうまいゲームとして、Peggleが思いつく。

Peggleは言ってしまえば画面上部からボールを打ち出して、それが釘に当たるのを眺めるだけのゲームだ。しかしなにかコンボを決めたりするたびに、ジミー・ライトニングというウザ……かわいいビーバーが出てきて、「ヤバい!」だの「革新的!」だのを叫んでゲームを盛り上げてくれて、非常にウザ……楽しい。その他にも、最後の釘に当たる直前にはドラムロール&ズームイン、当たると第九が流れるという過剰な演出が光る、とてもジューシーなゲームだ。

こういった盛り上げ演出をゲームの中にきちんと取り入れていきましょうということを、「ゲームをジューシーにしましょう」という言葉で説明できることはとても便利だ。ただ、このジューシーという用語、日本語のゲーム開発文脈において、説明無く使えるほど普及しているとは思えない。なので適切な訳語が欲しいのだが……あまり思いつかない。ゲームに「気持ちよさを演出する」「心地よさを加える」などが候補として挙げられので、この辺が落とし所かなあ。

ゲームの「手触りを良くする」というのも用語としてはそこそこ聞く。

が、これはもっとゲームルールと密接に関わっている要素な気がしていて、ジューシーとは別の概念のようにも思える。また、ソシャゲのレア演出のようなゲームルールとほぼ独立しているものも別概念のように思える。ゲームのルールからは適度に離れつつ、それを横から盛り上げる演出、それをジューシーと呼んでいる感じ。この辺、訳語だけでなくて元の用語の曖昧性もあって、なかなか難しいね。