「お気に入りのビデオゲームを5つ挙げてください」

最近インタビューを受けたりプレゼンをしたりという機会がたまたま重なって、今までの自分のゲーム体験を振り返る機会が多くあった。

このインタビューでは、ポケコンから始まるマイコンとの出会い、ベーマガのゲームを打ち込んで遊んだ原体験、私から見た最近のインディーゲーム制作シーンを話した。

Tokyo Indiesのシューティングゲーム特集のプレゼンでは、今まで作ったシューティングゲームを元に、シューティングゲームのアイデアを考える方法の一案を話した。

2024年初頭に、1DパックマンPaku Pakuが海外圏で話題 になって、それをきっかけにmatt sephton さんからインタビューを受けた。ここでもマイコンベーマガ、あとはナムコアーケードゲームから受けた影響などを話した。

このインタビューでの質問の一つが「お気に入りのビデオゲームを5つ挙げてください」だった。これは答えるのが難しい。なにしろ今まで私が遊んだゲームの数は、数は、分からないが、たぶんたくさんだ。その中から5つを選ぶ。これは難しい。

なので何かの観点を置いて選ぶしかない。私は自分がゲームを作るに当たって影響を受けたゲーム、という切り口で以下を挙げた。

列車を中心とした運輸会社の経営シミュレーションゲームのトランスポートタイクーン。ライバル会社と競いつつ路線を拡張していく体験はこのゲームならではのもので、ゲームの中に世界が出来上がっている感覚を強く感じることができたゲームであった。今はオープンソース版のOpenTTD があるので、誰でも手軽に遊ぶことができる。

弾幕シューティングの元祖の一つとも言える怒首領蜂(初代)。特に大量の戦車と弾幕が押し寄せ、常に緊張感のある切り返しを要求される5面が好きで、この体験を自分でも再現したいというモチベーションがシューティングゲームを作るきっかけになった。

白と黒の属性を持つ自機と敵の組み合わせが、今までにないプレイフィールを実現したシューティングゲームである斑鳩。伝統的なジャンルであるシューティングゲームに新しいルールを持ち込むことで、これまでにない斬新で楽しいゲーム体験を生み出せるのだと実感した。

提督から毎ゲーム異なる報告を受けることで、ゲーム展開や世界地図がどんどん変わっていくシミュレーションゲームTHE ATLAS。ゲーム開発者本人ですらも予想できない展開を作り上げることができる、プロシージャル生成の技術に関心を持った。

ワイヤーフレームをベースとしたビジュアルと、BGMと連動して演奏しているかのように鳴る効果音が印象的な3DレールシューティングゲームRez。私のゲームでワイヤーフレームや、BGMと合わせてクォンタイズされた効果音を多用するようになったのは、Rezの影響が大きい。


自作ゲームへの影響、という観点で選んでも、5つは少ない。前述のナムコのゲームの数々や、ゲーム&ウォッチなどのより原体験に近いゲームなどは挙げきることがとてもできない。それでも強引に5つ選んでみると、今の自分を形成したゲーム体験のコアを抽出することができて面白い。

他の観点で選ぶ方法もある。

普遍的な面白さがある、つまり今遊んでもその面白さが変わらないという観点だと、私個人としてはこの5つ。ほかにもビジュアル、オーディオ、シナリオなどの観点で5つ挙げてみるのも面白いと思う。自分がゲームのどこに惹かれているのかということが、5つのベストゲームを選ぶプロセスを通じて分かるかもしれない。