1次元ゲームの世界

1次元ゲームとは、ゲームフィールドが1ラインしかなく、キャラクターが左右(もしくは上下)にしか動けないタイプのゲームを指す。非常に窮屈なフィールドで、どのようなルールにすればゲームが成り立つかを考えることは、新しいゲームアイデアを考える際に役立つ、こともある。

既存の2次元ゲームを1次元ゲームに落とし込むことで、元のゲームの基本ルールだけを際立たせた、よりプリミティブなゲームを作るという方法もある。この前はパックマンの1次元ゲーム化をやってみた。

左右にあるワープトンネルを使ってモンスターを避ける、パワーエサを食べてイジケモンスターに反撃する、すべてのエサを食べると次の面へ行く(シームレスに移行するパックマンCE方式)、というルールだけでゲームにした。左右にしか動けないことを利用して、ボタンを押すと移動方向が反転する、1ボタンゲーム化もした。パックマンらしさをミニマムに表現できたのでは、と思う。

こういった1次元ゲームを探したかったらポケコンゲームを見ると良い。ポケコンとはポケットコンピュータの略で、小型の液晶ディスプレイとキーボードから成る、いにしえの持ち運べるコンピュータのことだ。

ポケコンのディスプレイは、電卓のような1行のテキストのみ表示できるものが主流だった。なのでポケコンゲームは必然的に1次元ゲームとなる。複数行表示できるポケコンや、1行に縦複数ドットのグラフィックスが表示できるポケコンは2次元ゲームも作れたが、それは例外としよう。

ポケコン版1次元パックマンはいろいろある。

シャープのポケコンPC-1245用パックマン。これは今回作ったのと同じようなルール。ノーマルエサは無いけど。

カシオのポケコンPB-100用パックマン、の移植版。パワーエサが爆発する変わり種。

ナムコのゲームだと、他にはメトロクロスとかも1次元ゲーム化できそう。

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のような画面を作って、.がプレイヤー、/がジャンプ台、_がスリップゾーン、oがジャンボ缶、のような1ラインだけメトロクロスを模擬すれば良い。ジャンプ中のプレイヤーは'で。

こういったアーケードゲーム無理やり1次元ゲーム化、昔のポケコンでいろいろやられてそうだけど、なにぶんポケコン自体がかなり昔のハードなので、今のネットで情報を探すのが難しい。この辺が見つかればミニゲームのアイデア元としてとても良さそうなのだが。

そういえば前にフォゾンの1次元ゲーム化もしたな。

これはかなり無理があった。あと完成形が同時表示されていることが重要なので、1行での表示で完結させるのは難しそう。

今まで作ったほかのミニゲームの中にも、実質1次元ゲームのものがいくつかある。

グレネードを投げて地面に穴をあけて戦車の弾をよけるゲーム。これはPC-1500用として掲載されていたゲームが元ネタ。グレネードが画面上方向に飛ぶ演出をカットすれば1次元ゲームになる。

R-TYPE波動砲だけ抜き出したもの。BEAM表示相当の情報をなんとか1行に押し込めれば1次元ゲームになる。

これは極めて分かりにくいと思うのだが、ディグダグで岩の下からプーカを太らせながら上に掘り進み、まとめて岩でつぶす場面を1次元ゲームにしたものなのだ。本当に分かりにくい。

たけのこと竹の表現を1行に収まるように工夫すれば、これも1次元ゲームになるな。

これも薙ぎ払い表現を工夫すればベースのルールは1次元だ。

1次元のフィールドでできるゲームを考えること、既存の2次元ゲームの1次元化をすること、ポケコンゲームのアイデアを参考にすること、この辺は制約に基づき新たなミニゲームを考える方法としてアリかもしれない。

ポケコンの1行液晶ディスプレイもそうだけど、1次元ゲームという特性を活かしたハードウェアを考えることもできる。

Line WobblerはLEDチューブを使った1行どころか1ドットの1次元ゲームを実現している。こういった専用ハードウェアを使った1次元ゲームを考えるのも面白いね。