2023年はChatGPTから創造性を引き出そうとして四苦八苦した年

四苦八苦した経験はとても楽しかったが、あまりうまくいかなかった。ただ、堅物のChatGPTから、ユニークでオリジナリティのあるアイデアや作品を得るためには、多少のコツがあることが分かった。

人間からテーマを与えてアイデア出しの方向付けをする

単純に「ミニゲームのアイデアを考えて」と指示するのではなく、「『伸びる』というテーマで、ミニゲームのアイデアを考えて」のようにすると、テーマを変えることでさまざまなアイデアを出せるようになるし、テーマ自体をユニークにすることでアイデアの質を向上させることができる。LLM(大規模言語モデル)が単なる検索と違うのは、それが膨大な一般常識、世の中の出来事を知っていることにあるので、そのような知識に対してテーマでフックを掛けることで、知識の組み合わせによる新たなアイデア創出がやりやすくなる。

イデアや作品を導出するまでのプロセスを示す

「ゲームのアイデアを考えて実装して」のように、困難なタスクを一度に依頼すると、出力は凡庸で多様性の無いものになる。アイデアを出して、ルールとキャラクタの動きを決めて、プレイヤーキャラクタの動きを実装して、のように、段階的にタスクを進めることで、より具体的な出力結果が得られるとともに、途中で修正したい点を指摘して、質を高めることができる。

イデアや作品を作成するための方法を文書化して渡す

ChatGPTは、プロンプト以外にもテキストやソースコードを添付して、その内容を加味した回答をすることができる。なので、自分なりのアイデアの出し方、よく使うゲームルールなどのテキストや、ライブラリの型定義、サンプルのソースコードなど、生成に役立つ情報を文書化しておいて、ChatGPTに渡すと良い。そうすることで、生成される内容を自分好みにカスタマイズしたり、より質の良いものを得ることができる。

上記のようなプロセスや文書をあらかじめ与えることで、ある目的に特化したChatGPTを作ることができるGPTsという仕組みができたことで、これらの工夫を組み込むことがより簡単になった。

また、自分なりの考え方を文書化しておくことは、他の人にその内容を共有するためだけでなく、AIにそれを理解してもらうという点でも重要になった。そういった意味では、今年、自分なりの小さなゲームの作り方についてまとめた文書を作ったのは良かったと思う。実際、ここに書いた内容の一部は、上記のGPTに組み込んでいる。

あとChatGPTからDALL-Eが使えるようになって、画像生成がすごく手軽に楽しめるようになった。

ゲームのアイデア作りの取っ掛かりとして使ってみるのも楽しい。

あと単一のプロンプトで4コマ漫画が作れないかってのも試してみた。このプロンプトも、テーマを与えて、それに沿った起承転結を考えて、それを日本の白黒の漫画風に描く、のように、上記と同様の工夫をしている。ただまともな漫画が出てくることは少ない。呉竜府のような強力なテーマで力押ししないと、面白いものは出ない。

クォータービューの迷路。迷路のように、スタートからゴールまでちゃんと正解のルートがある、みたいな整合性を取ることは今の画像生成AIはすごく苦手なので、所望のものを得るまでに大量の出力ガチャが必要とされる。

半面、PC-9801風で、みたいな、なんとなく画風としてあっていれば良いものは、何回か会話して修正するだけで、的確に出力してくるからすごい。

コンピュータに自動的にゲームを作ってもらいたい、という夢がずっと前からあって、今までいろんな方法を試してきたけど、ChatGPTのようなLLMが新たなアプローチとして得られたことは嬉しい。ただ、現状のLLMの限界もなんとなく分かった気分になってきているので、さらなる技術革新に期待しつつ、変わった活用方法やアプローチなどを工夫する楽しみは、まだまだありそうだ。