斬新なゲームメカニクスを目指した時の「やらかし」と「もがき」の制作過程が分かる本「組み立て×分解!ゲームデザイン」

筆者のkuniさんから献本いただいた。

ひどくおおざっぱに言うと、斬新なルール、ゲームメカニクスを持つゲームを作るに向けて、これは面白いだろうと思って作ったルールがイマイチな時、そこからどうやって工夫することで面白くすることができるか、それを書いた本。

題材のゲームはkuniさんが作ったいくつかのゲームを用いている。

例えば2章はmosserことまるぼうしかく内のしかくことフレイムテイルが題材。炎が燃え広がるというアルゴリズムを元に、単にクリックしたところが燃える凡ゲーから、炎をつける自機の導入、燃やせるテトロミノの導入などの様々な試行錯誤を経て、最終形のお尻に火が着いたスネークゲームというところに到達するまでが丁寧に解説されている。

こういった新しいルールを導入したパズルゲームやアクションゲームを作るためには何回もの試行錯誤を経てルールが出来上がっていくものだが、その制作過程を細かに語っている本は珍しく思う。こういったところは明文化されない個々人のノウハウになりがちなので、それが具体的に記載されていることがありがたい。その他にも、ルールを引き算や足し算で作る方法、ゲーム内の緩急の付け方、制約を設けることでゲームをゲームとして仕立てていく方法などなどが、具体的なゲーム制作体験に沿って書かれている。5章はみんな大好きパネキットでのいくつかの制約がなぜ必要だったのかにもちょいと触れられているよ。

定番のゲームではなく、ゲームの根幹のメカニクスがちょいと変わったゲームを作りたい人にはオススメ。記載が具体的な分、ゲームデザインに対して網羅的な内容では無いし、引用された豊富な既存ゲームに対する説明はおっさんゲーマーにとっては自明の内容で無駄な感じもするところはちょっと欠点だけど、それを差し引いても読んでいてとても楽しい本です。あとパネキットを代表とするkuniゲーが好きな人はぜひ手に取ると良いと思うよ。