マイクロペイメントとゲーム

マイクロペイメントとは数円から数百円の小額決済を(多くの場合は電子的に)行う方法のことだ。上の記事では、そのマイクロペイメントをゲームへ適用することを提案している。エバークエストを6時間遊ぶのに1ドルとか、ガントレット2の1000ヘルスを50セントとか、章立てのゲームの2章以降を1章2ドルとか、そういった支払い方法もあるんじゃないかという話だ。あとちょっとしたインディーズゲームに25セントとか、今のシェアウェアに代わる決済になるんじゃないの、ともある。

Scott McCloudはコミック作家で、サイトでオンラインコミックを25セントで売っている。

「再挑戦」とあるように、マイクロペイメントは失敗しまくっている、というか成功したためしがない。

従来型製品販売から資金を上げていないサイトは、そのほとんどが2年以内にマイクロペイメントに移行すると私は予想する。

この文章が出たのが1998年だ。そして

今はもうその2000年も終りを迎えようとしている。空飛ぶ自動車も実現しなかったが、マイクロペイメントも実現しなかった。何がいけなかったんだろう?

これが2000年。今は2004年だが、少なくとも日本ではマイクロペイメントはまったく普及してないようにみえる。

マイクロペイメントが失敗しているのは、それを実現する仕組みがないから、ではない。日本にはペイパルはないけど、eBankのメルマネ(http://www.ebank.co.jp/sc/mailmoney/mailmoney_0101.html)ってのはあるし、はてなのポイントだってある意味マイクロペイメントだ。

PARSEC47を作ったときに47ポイントくれた人にこの場でお礼を。ワラタよ。次回作はPARSEC1999753ってのにするので、よろしく。

失敗の理由は、マイクロペイメントへの反論に書いてある

特に、ユーザは予測可能でシンプルな価格体系を求めている。一方、マイクロペイメントは、安価なリソース消費のために、数多くの少額かつ予測不可能な取引を生み出すことでユーザに精神的負担を強いている。マイクロペイメントはこうしてユーザの心に不安と混乱を招いているのだ。わざわざ自分からこんな目に会いたいと思うユーザは、今までもいなかった。

購入にあたっての不安は、マイクロペイメント・システムに永久に付いて回る特徴だ。なぜなら、経済的決断は境界線上でなされるものだからだ。「このドリンクには1ドルの価値があるか?」ではなく、「次の1杯には1ドルの価値があるか?」で判断されるわけだ。取引の承認をユーザに求めると、必ずこの種の不安を呼び起こすことになる。決断や決済のメカニズムがどうであろうと関係ない。

これね。要は「まんどくせ ('A`)ノ 」いのだ、小額をたくさん払わなければいけないマイクロペイメントは。

あと、これをゲームに適用すると、ロートルゲーマがよりゲームを積むようになるという問題もある。6800円払ってぜんぜんゲームをやらない積みゲーマーに、1章進むごとに1000円とかいう料金体系でゲームを売ってみろ。ゲームを進めることすら面倒なのに、さらに進むことで金がかかるとなると、そりゃだーーれも先に進まないだろう。積みまくりだ。

マイクロペイメントっぽいもので唯一うまくいっているのは、トレーディングカードとかのカードかなあ。MtGのオンライン版は結構うまくいったらしいし(http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030704203.html)、ゲーセンのゲームは今やカードを売りつけることでインカムを上げることしか考えてない。

トレーディングカードがうまくいくのは、どんなクズカードだろうが、レアカードだろうが、値段は同じ(中古で売買するときは別ね)っていう特殊な価格体系だからかなあ。そのカードが必要かどうかを判断して買うことは、そもそもできないから、買うかどうかの判断をしなくていいわけだ。

なのでとんでもないクズを引いても、まあしょうがないかーっていうものを小額で売るのが得策かね。機体のカードが1プレイごとに1枚出てくる、R-TYPE FINALのアーケード版とかどうだ。へきる号がクズかレアかの判断は、あなたに任せる。