ゲームのアイデアはふわっと思いつき、その過程は言語化できない。なので、AIには任せられない

ワンボタンアクションミニゲームをAIにワンショットで生成させる試み は相変わらず続けている。今回はゲーム発想の基本方針 をGemini 3 Flashに与えて5つのゲームアイデアを出させた。その中から私はなんとなく以下が一番面白くできそうだと思い選んだ。

5. 角度制御:『ジグザグ・スライサー(Zig-Zag Slicer)』

「Direction Change」を極限までシンプルにした、反射と精度のゲーム。


ビジュアル: 狭い通路(壁は単純な直線)。自機は鋭い矢印。


操作(Press): 進行方向の90度転換。


ルール: 自機は常に斜め45度の方向に直進する(右上または右下)。 ボタンを押すたびに、進行方向が右上から右下(またはその逆)へ切り替わる。 壁にぶつかると、物理法則に従って跳ね返る。


ゲームオーバー条件: 通路内に配置された静止した赤い球体(地雷)に接触する。


リスク・リターン: 通路の角(コーナー)にある狭い隙間を通ると「テクニカルボーナス」が入るが、わずかな入力遅延が壁への激突や地雷接触に繋がる。

このアイデアを見てうーんと考えているうちに、私の頭の中には以下のような、実際のゲームが動いている絵が直接浮かんできた。

screenshot

画面両端から複数の壁が迫るフィールドの中で、ボタンを押すたびに上下の進行方向が切り替わる自機を操作するゲーム。自機は壁に当たるとX軸方向に跳ね返る。自機が壁に潰されたり、画面左右から外に出るとミス。画面上下はつながっていて、上から出た自機は下から出現する。壁に跳ね返るたびにスコアが入り、またマルチプライヤーが1加算される。マルチプライヤーは1秒ごとに1つ減らされる。左右から迫る壁の間に入って素早くマルチプライヤーを稼ぐのが重要だが、壁に潰されるリスクもある。

ごく基本的なアイデアからこの具体的なゲームプレイ に至るまでの過程は、完全に直観的なもので、なぜ上記のアイデアがこのゲームになるのかはまるで説明できない。無理やり解釈すると、以下のようになるだろうか。

  • 物理法則に従って跳ねるボールを、進行方向をタップで変えながら動かすのは、ありがちだがベースのアイデアとしては良い
  • フィールドを工夫しないとあまりにもありがちなゲームになりそう
  • 左右から迫る壁というフィールドは、ブロック崩し的なフィールドとして分かりやすく、かつ潰されないようにするリスクもあって良さそう
  • 潰されるギリギリまで狭まった壁の間を素早く反射するのは楽しそう。じゃあこれに高得点を与えたい
  • 壁にあたるとマルチプライヤー獲得、だがマルチプライヤーは時間で減る、とするだけで、これに高得点を与えられるし、リスクリターンとして良くできているではないか

ただ、これは実際の発想を無理やりエミュレートしているだけで、本当のひらめきからはほど遠い物だ。こういったエミュレートからは、真に豊かなゲームアイデアの発想は得られないだろう。私がゲームの元となるルール群から、直接唐突に実際のゲームプレイに至るのは、今まで遊んだり作ったりしてきたゲームたちの経験、もっと言えばそれとも関係ない様々な経験に基づいて、謎の直観・直感というものでたどり着いている。この飛躍を今のAIでエミュレートする方法、それを考えることは面白そうだが、その結果得られるプロセスは実際のプロセスとは似ても似つかないものになる。

なぜ人にはこのような謎の考えの飛躍があるのか。結局、その人が今までの経験で得た、マルチモーダルかつその時の感情なども含んだ長大な学習データに基づく思考の連鎖から得られている、なんとも得体の知れない思考の帰結があるのだろう。地球上にいる膨大な人が個々の経験を持ち、かつそれらを組み合わせて物事を考えている。その結果多種多様な考えが世の中に散らばっている。

それに対して今のAIはインターネットという単一の経験に基づいて様々な発想をしなければいけないわけで、その制約はだいぶ大きい。ワンショットでのゲーム制作を可能にするためにも、AIには早く色々な経験をできるようになってもらって、無限ゲーム制作機として働いて欲しい。まずはオールアバウトナムコ掲載のゲームを全て遊んでもらって、その楽しさを分かるようになりたまえ。