SIG-Indie6雑感、主にシューティングへの新機軸取り込みについて

今回のSIG-Indieはシューティング特集。80年代から00年代までの同人シューティング作者が講演を行うことで、その歴史を追う研究会であった。90年代までの人間がかなり技術ドリブンなのに対して、00年代以降は技術よりもコンテンツの作り込みを重視している、ってのがおおざっぱな印象。もちろん00年代にも物量マルチコアシューティングであるexceptionのような技術志向のシューティングはあるので、そうはっきり分けられるわけではないが、マシンパワーが貧弱だった昔にくらべて、シューティングを作るのに技術的な工夫が必要な場面が年々減っているというのは、全体の傾向としてはあると思う。

パネルディスカッションでは、シューティングに他ジャンルからより多くの人を呼び込むにはどうすればいいか、といった話題が中心であった。これはなかなか難しい問題で、新機軸が必要、だけどそれをやると旧来のシューティングファンから反発を受けるのではないか、という長く続いているゲームジャンルにありがちな問題が顕在化した感じがした。シューティングはもはや伝統工芸とも言えるくらいフォーマットが確立していて、遊ぶ側、作る側、どうしてもそのフォーマットに囚われがちになるという問題がある。

今までシューティングで遊んでいない人を呼び込むための方法としていくつか挙がったものとして、

  • キャッチーな見た目

弾幕や派手なスコア表示などはシューター以外には全く訴求しない。そういったもの以外の見た目の楽しさ、面白さが必要。

  • 他ジャンルとの融合

アクション、RPGなど他ジャンルとの組み合わせで新たな遊び方を盛り込めないか。

  • 広い難易度設定を可能とする大量のステージ

前に音ゲー方式導入 (id:ABA:20081209#p1)という話をしたが、そういった大量のステージを用意することで間口の広さを確保できないか。

などがあった。パネルの場ではなんらかの提案まで持っていく時間がなかったが、個人的にそれぞれについてちょっと考えてみた。

  • キャッチーな見た目の実現案

2Dシューティングは頭に「2D」とついているように、どうしても平面の呪縛がつきまとう。現代においてキャッチーな見た目を実現するためにこの制約はなかなか厳しいんじゃないか、なんとかしてゲームシステムの3D化ってのが必要になるのではないか。ただ2Dシューティングのプレイ感覚の3D化はいばらの道で、なかなか成功例がない。

  • 他ジャンルとの融合の是非

シューティングは1回1回のプレイが完全に分かれていることが当たり前だが、RPGなどと融合することによるより長いスパンでのゲームプレイを実現するという方法は検討する価値がありそう。いい意味での「不毛作業ゲー」をシューティングの世界にも。

  • 大量のステージの作成方法

音ゲー方式自体はいいアプローチだと思っているのだが、やはり大量のステージを用意するのがネック。高度で使い易いステージエディタ(レベルエディタ)があれば、より多くの人、もっと言えばプレイヤーにステージを作ってもらうことが可能になり、大量のステージを準備することも可能になる。自動生成技術の適用によりツールを使いやすくする方法もあり。ただ各ステージごとの演出まで作成可能なツールは、相当高度な機能が必要と思われる。

それぞれの問題はなかなか難しくて、すぐに解決案が出てくるものではない。でもこういった新たな広がりがいろいろ考えられるシューティングというジャンルは、作る人にも、遊ぶ人にも、いまだに魅力あるゲームでいられるのではないかと思った。

研究会と懇親会自体はシューティングに関して何時間も延々と話したり考えたりできる最高の内容だった。会場入り口にPC-8801 MCとPC-88 VA2が置いてあって、88用同人シューティングが遊べるようになってたのがこれまた素晴らしい。またシューティング特集の会が開催できるといいね。