プロトタイプを量産してアマチュアゲームをもっと増やそう!そう簡単じゃないけど

昨日のネタ(id:ABA:20060410#p1)のちょっと続き。時間を区切ってさくっとゲームを作るのは価値がある。以下の別なアーティクルでも似たようなことが指摘されている。

このプロジェクトではゲームを3つのルールに基づいて開発することになっている。第1は「それぞれのゲームは7日間以内に開発しなければならない」、第2に「それぞれのゲームは完全に一人で開発しなければならない」、第3が「重力や、進化や、跳ねるといったような一般的な法則をテーマに持っていなければならない」だ。これだけのルールで、ひたすらミニゲームを開発し続けたのである。結果、4ヶ月で50以上のゲームが生みだされた。

50ものゲームをリリースしながら、実際のところ、ゲームとしてそれなりにおもしろいと感じさせるゲームは10のうち3ぐらいの割合でしかない。また、2週間かかったのにあまりおもしろくなかったゲームと、2日間でできたのにおもしろくなってしまったゲームを例にあげて、ゲームの開発期間とゲームの成功とは何の関連性もないということを述べていた。

短期間で大量のゲームを数撃てば、いくつかは当たる。なので、世の中のアマチュアゲームプログラマーは、もっとゲームを大量に作りましょう!

とだけ言えればどんなに楽なことか。

実際は短期間で大量のゲームを作るのは簡単ではない。1週間でスクラッチから遊べるゲームを構築するというのはものすごく大変なことだ。昨日の40時間でRPGを作ろうネタを見ればそれが分かる。しかもあれは40時間という比較的長い時間をかけたから、かろうじてRPGの体裁を持つゲームを作れたのであって、実際は1週間で作れと言われて40時間も作業時間を割ける人はあまりいないだろう。

なのでゲームを大量に作るのは無理だね。

というのは悲しいのでちょっと考える。解決方法の1つとしては、ゲームの体裁を完全に捨て、ゲームの手触りを知るためのプロトタイプを作ることに注力するという方法がある。昨日のネタの教訓3、アートワークを作るのに時間がかかるというのを逆手にとって、音や絵などのアートワークを全部捨てることで製作時間を削減するという方法だ。

プロトタイプを数多く作り、その中で面白そうなのだけを見繕い、厳選されたものだけをちゃんとしたゲームに仕立てていく。こうすればグソゲーを作ることもなく面白いゲームを量産することができる。すばらしい。

みたいな方法論はよく言われているんだけど、これも実際は難しいよね。特に「面白そうなのだけを見繕い」の部分が。プロトタイプとして作ったゲームって、たとえその中に光るフィーチャーが含まれていたとしても、あんまり面白くないことが多いような印象がある。ゲームってのは絵なり音なりで体験をブーストすることで初めて面白くなることが多くて、そのコア部分だけを切り出して遊んでみてもいまいちなことがある。ジオメトリウォーズからパーティクルとBGMとSEを剥いで、敵のバリエーションが3種類くらいで作ったプロトタイプとか、多分あんまり面白くなさそう。

なのでプロトタイプで遊ぶときは、そこにかっこいいエフェクトや音がのっていることを妄想しながら遊ぶという能力が必要とされる。私はまだ音ができてない段階で自作ゲームをテストプレイする場合でも、なんらかのBGMをかけて遊ぶことが多い。そうしないとなんかモチベーションが落ちるんだよね。

あと、神は細部に宿る、ではないが、ゲームの出来不出来ってのは最終的なちょっとした調整で変わってしまうことも多くて、これはプロトタイプ時点ではなんとも計りがたいってのも問題だ。

プロトタイプを素早く作ることができ、かつその最終形を正しく妄想しながらテストプレイできれば、かなりのペースで良作を世に出すことができるんじゃないかと思う。そのためには、開発力と妄想力をより一層高めないとだめだね。