小さなゲームを作るとして、ターゲットデバイスと開発環境、何向けに何で作るのがいいんだろう

じゃあ小さなゲームを作ってみようか、と思ったときに、まず考えないといけないことの一つに、PC、スマホ、ゲーム機などなど、どのデバイスで動くゲームを作るかということがある。

特にこだわりがないのであれば、PCのWebブラウザ向けのゲームを作るのがおススメだ。今のブラウザは様々な開発環境で開発されたゲームを動作させるためのプラットフォームとして成熟しているし、他の人にプレイしてもらうにも、ネット上のURL告知からシームレスに遊んでもらえてお手軽だ。

ゲーム作りを楽しむ、という面では、どの開発環境・プログラミング言語ゲームエンジンでゲームを作りたいか、から考える手もある。これについては小さなゲームだからどうこう、ということは特になくて、自分の好みで決めて良いと思う。ただ、重厚な3Dゲームを主なターゲットとしているUnreal Engineなどは小さなゲームを作るにはリッチすぎる、などは考慮しても良いかもしれない。

ブラウザ向けに作るとして、開発環境の選択肢は色々ある。

ブラウザで動くプログラムはJavaScriptで書く。だからゲームもJavaScriptで書こう、というのは自然な発想だ。p5.jsPhaserなどのライブラリを利用することで、画面描画などの面倒な部分を楽して書くことができる。p5.jsなら、文系大学生のためのp5.js入門p5.js日本語リファレンスを見ながら、p5.js web editorを使えば、すぐに始めることができる。

ゲームの実行環境と開発環境、キャラクタ・レベル・音のエディタなどを内包した、軽量なゲームエンジンをファンタジーコンソールと呼ぶ。代表的なものとしてはPICO-8PyxelTIC-80などがある。オールインワンの環境で、機能も意図的に絞られているため、小さなゲームを作るには良い選択だ。それぞれ使えるプログラミング言語などが異なるので、自分の好みのものを見つけると良い。PICO-8を試してみるなら、PICO-8日本語版マニュアルPICO-8 API早見表を見ながら、PICO-8 Education Editionを使ってみよう。

UnityGameMakerGodot、など多くのゲームエンジンは、ブラウザ (HTML5)向けにゲームをエクスポートすることができ、ブラウザ上で作ったゲームを遊ぶことができる。画像や音などのアセット管理機能が充実していたり、ブラウザだけでなくPC・スマホ向けにもゲームをリリースできるなど、採用するメリットは大きい。

  • ツクール

RPGが作りたい、ノベルゲームが作りたい、などのジャンルが決まっているのであれば、専用のツールが使える。RPGツクールMVに代表されるツクールが歴史的にも有名なため、このカテゴリのツールは伝統的にツクールと呼ばれがちだ。RPGツクール以外にもWOLF RPGエディターなどもあるし、ノベルゲームならティラノスクリプトなどがある。最近の多くのツクールはブラウザ向けのエクスポート機能を備えている。

テキストベースのプログラムにそもそも慣れていない場合は、ScratchMakeCodeなどのビジュアルプログラミング言語が利用できる。複雑なゲームを作ることは大変だが、あらかじめ絵や音なども用意されていて、小さなゲームであれば十分に制作することができる。

今のブラウザは、JavaScript以外の言語もWebAseemblyなどの技術を活用することで動作させることができる。ただし動作させるためのコンパイルなどの作業が複雑なことも多く、可能であれば上記ファンタジーコンソールやゲームエンジンの助けを借りた方が良い。Pythonで作りたかったらPyxel、C#で作りたかったらUnity、など。HSPなど、オフィシャルで対応している言語は手間は少なくて済みそうだ。


ブラウザ向けに作る場合、タッチ操作(PC上ではマウス操作)のみでゲームを操作可能にすることで、スマホ対応を行うこともできる。より多くの人に遊んでもらいたい場合は検討したい。

ゲームを作る体験それ自身を楽しみたい、という面では別にブラウザ向けにこだわる必要もない。PC用アプリやスマホ用アプリでもよい。プチコン4などを使ってSwitch向けゲームを作っても良い。MakeCodeで作ったゲームは好きなハンドヘルドデバイスで遊ぶこともできる。PICO-8用ゲームをハンドヘルドデバイスで動かしている人もいる。多くの人に手軽に遊んでもらいたい!という考え方だけでなく、このデバイス向けに作ってみるのが面白そう!というモチベーションで作るのも楽しい。自由に作ろう。