AI「先輩、このゲームなんかイマイチっす」

この前の記事で、LLMを新人と扱って積極的に質問させることで、LLMをドライバーとしたペアプログラミングでも、仕様を適切に実現した良質なコードを得ることができるかもね、という話を書いた。

なんでこんな話を書いたかというと、私がLLMに作って欲しいのは主にゲームで、ゲームにおいては仕様と実装の乖離、というか仕組み的にはよさそうだったんだけど実際に作ってみたらそんなに面白くない、ということがまま起こるので、それを何とかできないかという試みをしていたからだ。

まだ懲りずに続けているLLMにワンボタンミニゲームを作らせる取り組み、前回はもうLLMにちゃんとしたゲームを作らせるのはあきらめて、いろんなトイを作ってもらってそれを人間がゲームに仕立てるという方法を取った。でもこの方法だと、使えそうなトイが出てくるまでの打率が低いとか、トイからなんとかゲームっぽさを見出してそれを頑張ってゲームにするのが大変、とかいう問題があった。

できればLLMにそれなりに使えるゲームアイデアを最初から考えて欲しいし、それをちゃんとバランス調整しながら実装してもらいたい。でも今までの体感から考えてそれをLLM単体でやるのは無理だ。だとしたら、分からないところ、LLMが不得意なところは人間に積極的に聞いてもらって、共同で作るしかない。

そう考えて作ったアイデア生成プロンプトが以下だ。

長いので読めるものではない。バサッと要約すると、

  • 人間とLLMの協業によるワンボタンゲームのデザインワークフロー
  • LLMは体系に基づくアイデア考案やその内容のテンプレートへの記入などの作業を自律的に実行する。人間は直感的な検証、経験に基づく判断、創造的なフィードバックなどの役割を担う
  • まずゲームのテーマを発想する → テーマに基づきプレイヤーがボタン一つで解決すべき明確で面白い問題を定義 → ゲームコンセプトがプレイヤーにとって本当に理解可能でかつ楽しいものかを検証 → 仕様書にまとめる、というプロセス

を実現するためのプロンプト。

重要なのはLLMに「お前はそのゲームが面白いかどうかとか、そういった細かいことは分からない」と自らの限界を教え、そこは人間に任せなさいと明示すること。昨今のLLMはなにか謎の万能感を持っていて、LLM自身にプロンプトを作らせると、自分ができないような高度なことを、さも自分は簡単にこなしますよ的な感じでプロンプトに滑り込ませてくる。

それを避けるためには、ちゃんと自分の限界をわきまえなさいと諭したり、実際にやらせてみてほらやっぱりここはできないでしょ、と身をもって分からせてからプロンプトを作らせると良い。

上記のアイデア生成プロンプトをClaude Code + Claude Sonnet 4 + Sereneに与えると、例えば以下のようなデザインドキュメントが得られる。

昔の電話交換手をテーマとしたタイミング重視の接続ゲーム。電話交換手というテーマは面白そうだし、ちゃんとゲームにできそうだ。

LLMからの最初の提案の時点では、タイミングよく接続する、という漠然とした提案だったので、カーソルとホールド・リリースによる接続操作や、時間切れや誤接続による契約切れなどを助言することで、LLMからの提案の詳細化が足りていないところを補った。

次に必要なのはこのデザインドキュメントを実装するプロンプト。

これもまた長いが、だいたい以下を行う。

  • 人間とLLMの協業によるワンボタンゲームの実装ガイド
  • LLMが技術的な実装やパラメータ調整などの作業を担い、人間はプレイ体験の評価・フィードバックによる指示出し・最終的な完成度の判断といった役割を担う
  • ゲームとして機能する最小限の実装でゲームの目的が分かるか・実現可能かを検証 → コアメカニクスを追加 → ゲーム全体のバランス調整、というプロセス

一気に最終ゲームにするのではなく、段階を経て実装し、そのたびに人間が内容を確認しフィードバックを行う。また、仕様で良く分からないところがあった時、LLMは積極的に人間に質問を行う。

こうしてできたゲームは以下。

最初の実装で、二人の間の接続などの基本的なところはすでにできていた。加えて、接続中はカーソルが遅くなるなどのゲームを面白くするための工夫を、人間から指示して調整した。その他に、接続の要求頻度・スピードなどのパラメタ調整、マルチプライヤーの要素の追加などを指示し、LLMの実装を補強した。

この方式で果たして人間側が楽してゲームを作れるようになるかというと、現時点では微妙なところだ。ただ、電話交換手みたいな、なかなか思いつかなそうなテーマをLLM側から提案してくれるのは助かる。最初の発想の幅が広がれば、自分だけでアイデア発想するより色々なバリエーションのゲームが作れそうだ。