Railroad Tycoon 3(PC)

タイクーンシリーズの王、鉄道経営ゲームの最高峰であるレイルロードタイクーンの最新作がリリースされた。

レイルロードタイクーンは、その1作目がシドマイヤーによって作られた時点で、すでに完成されたすばらしいゲームシステムを備えていた。鉄道網を使った高度な流通システムを直感的に構築することができ、広大なアメリカ大陸を舞台にAIと競いながら鉄道を延ばしていく楽しさは、当時も今も変わらず最高に楽しいシミュレーションゲームだ。

1作目が完璧だと、その続編を作成する作業は困難きわまる。実際RT2は、RT1に株や需要の概念などを取り入れて、グラフィックスを多少リファインした内容だったが、ほとんどRT1と差分がなかった。でもRT1のテイストそのままがまた遊べるので、それなりには楽しかった。

RT3は完全に開き直ったのか、「もうシステムは完璧だから、あとはUIを完璧にすればいいよね」というコンセプトのもと作られているように見える。RT2からRT3へのシステム的な差分はほとんどなくなり、いかにプレイヤーに快適に遊んでもらえるかという方向にすばらしく進化している。

  • 完全3D化されたマップ

マップ、建物、線路、施設、汽車、すべてのものが3D化され、あらゆる方向、あらゆる距離から見られるようになった。広大なマップを扱っているにも関わらず、フォグとかでごまかすことなく、遠景まで自然に見渡せるようになっている。

しかもUI的な使いやすさは2Dであったころと比べて退化しておらず、驚くべきことにより使いやすくなっている。RTのUIの肝は、レールを引くところに集約されるが、これが極めて使いやすい。マップ上にポイントしていくことでその間にレールが引かれるのが基本で、その間に山や川があるときは、自動的にトンネルや橋を配置してくれる。どの程度の傾斜まではトンネルを掘らずに上を通すかというパラメタも調整することができるので、ほぼ思い通りのレールレイアウトが自然にできる。ホイールで行えるマップの拡大縮小と、スムースなスクロールをあわせて使えば、簡単に鉄道網を構築することができるだろう。

ただ問題点もいくつかあって、木造の橋を鉄の橋などに架け替えるときにいったん撤去しなければいけない点と、川と山が複雑に入り組んでいる地形ではなかなか有効な線路が引けない場合がある点、これがマイナス。

  • より洗練された運行制御

RT1の頃から、RTにおける列車の運行制御は、ある駅でどのような種別の貨車を何台つなぎ、次にどこの駅に行き貨車を別のものに変え、という具合に、行き先とつなぐ貨車の種別とその数からなっていた。RT3でもこの基本は変わらないのだが、貨車の数を最大何台、最小何台という具合に指定することができるようになり、より柔軟で直感的な指定ができるようになった。RT2までは「満載待機」という、全ての貨車が埋まるまでその駅で待つという指定があったのだが、RT3ではこれは最小と最大の貨車数を等しくすることで設定できる。さらに最小を2、最大を4という風に指定すると、最低半分が積まれるまで待つ、という指定になる。

また、「任意の貨物」「任意の旅行者もしくは郵便」という指定もできるようになり、これを使えばほとんどなにも考えずに運行を作り上げることもできる。これはちょっと便利すぎて、RT本来の楽しさを少しスポイルしちゃっている感じもするけどね。あと、一度設定した運行を後から変えるUIは結構ひどい。なんとかならなかったのか。

  • より分かりやすい需要、供給

RT2から、あらゆる貨物には需要と供給の概念があって、需要のある都市に適切な貨物を運ばないと利益にならなかった。でもRT2ではどこにどういった需要があって、そこに運ぶといくら儲かるのかといったことが、いまいち分かりにくかった。

RT3ではその分かりにくさを一掃するUIが多数導入された。まずマップにオーバレイ表示される各地域ごとの物価指数がある。個別の貨物につき、値段が高いところは緑、低いところは赤で表示されるので、プレイヤーは赤の地域から貨物をピックアップし、緑の地域に落とせばよい。また、その貨物が鉄道以外の手段でどのように運搬されているのかのインジケータもあるので、それに沿って線路を引くだけでもそれなりの利益が確保できる。

駅を設置してからは、さらに詳細な情報を得ることができる。駅の詳細画面で各貨物にカーソルを合わせると、その貨物を別のある駅に送ったときにいくら儲かるかという情報がマップに表示される。なので、駅を作ったら、とりあえずそこで産出される貨物にカーソル合わせて、利益が出そうな別の駅のめぼしをつけて、「任意の貨物」を「0-6両」運ぶ列車をぐるーっと巡回させるだけでも、ある程度まっとうな運行ができる。お手軽すぎ。まあそれじゃ最高の利益はでないけどね。

とまあ、UI的には非常にすばらしい進化をしているので、RTファンは買って問題なし。ただ最初に言ったように、システム的な目新しさはまるでないので、「まったく新しいRTがやりたい!」っていう人にはお奨めしません。

あー、あとね、オープニングムービーがいい。鉄道にあこがれる少年の素朴なうれしさがじわじわ伝わってくる素朴なムービー。機関車かっこいい。

あー、あとさらに一点。Ver. 1.02だけどね、まだたまに落ちる。オートセーブがあるからなんとかなるけど、なんとかして。