360版エスプガルーダIIアレンジモードに見る避けなくていい弾幕シューティング

Xbox360エスプガルーダIIがいい出来だ。私はアーケード版ガルーダIIは難しすぎて早々にあきらめてしまった人間なのだが、そんなゆるい人間でも360版は楽しく遊べている。360版から追加されたブラックレーベルモードとアレンジモードのおかげだ。

ブラックレーベルには「絶視眼」という、自機に被弾しそうな近くの弾を停止させるシステムがあり、これのおかげでだいぶ弾避けが楽になっている。基本絶視眼で敵弾を避け、それでも押し切られそうなときはボムをちょん押しするか、一定時間無敵の覚聖絶死界を使えばよい。弾幕シューティングには操作が厳しい360パッドでも快適に遊べるバランスだ。

アレンジモードはさらに簡単になっている。通常時の敵弾は赤と青に色分けされ、赤はレーザー、青はショットで破壊できる(1P側の場合)。なので敵攻撃パターンの色変化に合わせて、レーザーとショットを適切に切り替えていれば敵弾はほとんど飛んでこない。また赤走行時(精霊石0金塊あり時の覚聖時)には全ての敵弾がレーザーでもショットでも破壊可能になり、事実上無敵状態になる。

こう書くとシューティングとして成り立ってないように見えるが、スコア稼ぎのためのリソース管理という別の観点での遊び方がアレンジモードの肝であり、ぎりぎりゲームとして成立している。アレンジモードでは赤走行時に敵弾を破壊することで大量のスコアが入るようになっており、これが一番重要なスコア源になっている。なので基本戦略としてはボスや中ボスの手前で精霊石が0、金塊が最大の1000になるようにリソースを調整し、ボスの攻撃を赤走行で相殺、ボスの攻撃パターン切り替わり前に覚聖を解き敵弾から精霊石を少量調達(もしくは被弾して調達)、通常覚聖してボスに撃ち込み、敵弾から金塊を調達、次攻撃パターンを同様に赤走行で相殺、ということになる。

赤走行時のやけくそなボスの攻撃を相殺し敵弾から金塊がじゃらじゃら出るのがなんとも痛快で、遊んでいてとても楽しい。とんでもない勢いでスコアが入り、簡単にエクステンドする(アレンジモードは1億エブリエクステンド)ので、アーケードに置けるバランスではないが、コンシューマ向けシューティングとして、この方向はアリだと思う。弾幕シューティングなのに避ける必要なし、敵弾もすべて破壊してしまえという、シューティングにおける破壊の楽しさに再度フォーカスした作りとも言えよう。

欠点はもうすでにほとんど明らかなのだが、システムが複雑すぎる。上の基本戦略とか書いている時点でこれやってない人には意味不明だなとか思ってたのだが、この手のリソース管理の楽しさを出すためにはどうしてもシステムが複雑になりがちだ。しかもこういった稼ぎ方はマニュアルにもチュートリアルにも書かれてないので、自力で見つけるしかない。ちなみに私は自力で見つけられなかったのでTwitter上で教えてもらった。360版ガルーダIIにはオンラインリプレイがあるので、それでうまい人のリプレイを見れば分かる、という考え方もあるけど、できれば基本的な稼ぎ方はどこかで説明して欲しかった。稼がないとアレンジモードって全然楽しくないしね。

360版虫姫さまふたりでもそうだったのだが、最近のコンシューマ向けCAVEシューは、アレンジモードという形でほとんど弾避けする必要のないゲームモードを付けるようになってきた。敵の弾幕は激しく、でもそれを上回る火力を自機に、という方向で簡単に爽快感が得られるゲームになっており、インカムを考えなくてよいコンシューマ向けのアプローチとしては全然アリだと思う。

またガルーダIIアレンジモードには、1周するごとにひとつレベルが上げられるというフィーチャーがある。レベルはつまるところランクであり、レベルを上げるごとに敵の攻撃が激しくなる。でも前述の通り敵の攻撃がいくら激しくなってもこちらの火力で相殺できるのでなんの問題もなく、逆によりスコアが簡単に入るようになり、爽快感が増すという作りだ。これによって何回もクリアするというモチベーションが湧き、シューティングに楽しく不毛な作業ゲーとしての仕組みを組み込むことに成功している。無双とかと比べると不毛作業ゲーとしての完成度はまだまだだけど、コンシューマ向けのフィーチャーとしてはいい試みだと思う。

というわけで360版ガルーダIIはアーケード版が前作よりいきなり難易度が上がってついていけなくなったゆるシューターにも安心してお勧めできる良作。多くの人が楽しめるシューティングだと思います、と言いたいところだが、複雑なシステム+稼ぎ前提という時点で万人向けではないと言われるとなんとも反論しがたいなあ。でもお勧め。